OFFICE STRATEGYこれからのオフィス戦略

東邦大学看護学部 感染制御学
小林教授に聞く!
職場内での感染を予防する方法
2020.08.07UP

新型コロナウイルスの感染拡大により、各所でクラスター(集団感染)の懸念が高まっています。クラスターが発生しないよう、各施設や店舗、オフィスの管理者は十分留意が必要です。

そこで今回は、オフィスの職場内クラスターを防ぐため、感染しにくいオフィスづくりに必要なことを専門家に伺いました。

感染しにくいオフィスに必要な条件

オフィス内は常に衛生的に保ち、感染を起こさない、広げない対策が必要になります。では具体的にどんなことが必要になるのか、みていきましょう。

1.厚生労働省による「働き方の新しいスタイル」

・テレワークやローテーション勤務・時差通勤でゆったりと・オフィスはひろびろと・会議はオンライン・対面での打合せは換気とマスク

まずは国が定める新しいオフィスの在り方から条件を考察します。厚生労働省からは、新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」の実践例が公表されており、(4)に「働き方の新しいスタイル」として右の5つが明示されています。

テレワークや時差通勤などを利用し、できるだけオフィスに人が集まらないワークスタイルを中心として、オフィスの在り方も新しい様式が求められています。

出典:厚生労働省『「新しい生活様式」の実践例』

オフィスは「ひろびろと」使うことが勧められており、各オフィスで工夫をして対応する必要があります。オンライン会議が浸透していますが、音漏れやプライバシーの観点で支障が生じるため、オフィス内ではフォンブースや個室などを用意し、オンライン会議環境を整えることが有効です。

2.日本渡航医学会と日本産業衛生学会による「職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド」

(1)ソーシャルディスタンシング(人と人との物理的距離を保つこと)(2)集団感染の防止(3)その他の感染予防策

日本渡航医学会と日本産業衛生学会が策定した「職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド」では、職域の感染予防対策として (1)ソーシャルディスタンシング(人と人との物理的距離を保つこと)、(2)集団感染の防止、(3)その他の感染予防策の3つを掲げています。具体的には、休憩室や食堂等の利用制限、対面での業務(会議含む)の制限、執務中の間隔を2m以上に保つこと、社内研修・セミナー等はテレビ会議等を利用、もしくは延期・中止などがあります。また、従業員の執務場所(階やエリア)の限定が望ましいとしています。

専門家が提案する職場内での感染を予防する方法

ここで、東邦大学の感染制御学の小林寅喆教授に、オフィス内における感染予防策を伺いました。

1.感染を防ぐための大前提事項

まずは感染予防のために大前提として実施すべきことを伺いました。

・体調の悪い人はオフィスに来させない・換気を行い、空気の通り道を作る・飛沫に触れない・飛沫に触れない

小林教授: 「ウィルスと接触する確率が問題ですので、上記の対策を行い、感染する確率・リスクをいかに減らすかにかかっています。 無症状の人は、症状がみられる人に比べ飛沫に含まれるウィルスの量が少ないと考えられますが、新型コロナウイルス感染症が流行している以上、感染リスクを考え対話には十分な注意が必要です。そのためには、これらの大前提となる根拠に基づいた予防策を実施し、クラスターを起こさないことが大切です」

2.オフィスで感染しやすい場所は?

オフィスで、感染しやすい場所はどこなのでしょうか?

小林教授: 「オフィスで感染しやすいのは、マスクを外して会話をする場所、つまり会議室、休憩室、社員食堂、ロッカー室などです。飲食店やライブ会場で感染リスクが高いのは、同様の理由からです。会話を行わないオフィスの執務デスクであれば、隣り合う配置は問題ありません。間仕切りがあれば尚よいですね」

既存レイアウトで見た場合、どこが感染しやすい場所になるかを検証してみました。予防策と一緒にポイントを見ていきます。

■ オフィスのレイアウトで見る感染予防のポイント

●対面のデスク●ロッカー室●会議室、役員室●会議室、休憩室
◎ 対面のデスク

・デスクのつい立てやパーティションを調整する
小林教授: 「デスクのつい立てやパーティションは、座高・身長から30cmプラスしたものがあると飛沫を防ぎやすいです」

◎ ロッカー室

・マスクなしでも1.5m空いていればOK
小林教授: 「人と人との間隔が1.5m空いていれば、通常の会話であればマスクがなくてもOKです。マスクをしているとよりリスクは低減されます。しかし大声を出す、咳、くしゃみは飛沫を発生させるのでNGです。ロッカー室は密室になりやすいため、可能な限り換気を良くし、人数制限や時間制限をつくり、ロッカー室内での会話などの規制、短時間利用を徹底しましょう」

◎ 会議室、役員室

・常時換気すれば、30分から1時間の会議はOK
・大声を出すと飛沫が生じるため、マイクを使うことも有効
小林教授: 「常時換気ができていれば、30分~1時間は会議室での会話は問題ないでしょう。ただし、扇風機で空気を拡散させるのはNGです。出口に向かって一定方向に空気を出しましょう。出口の空気で感染しないかと質問されることがありますが、感染する確率はほぼありません」

◎ 会議室、休憩室

・オフィスの人が集まる場所はオープンエリア・常時換気・間仕切りあり
小林教授: 「オフィスで打ち合わせや会議、人が集まる場合には、オープンエリアで常時換気ができる状態、かつ話者の間に間仕切りがあるとよいです」

3.感染予防において効果が見込めないもの

一方で、オフィスで実施されている感染予防のうち、おすすめできないものや、逆にふき取りや消毒の工程を増やしてしまい予防につながらないものもあるそうです。

△ 靴底の消毒や鞄専用ロッカーの設置

小林教授: 「環境からの感染は確率が低いです。新型コロナウイルスは飛沫感染によるリスクが高いため、靴底の消毒や靴専用ロッカーなどを設置してもほとんど意味がありません」

△ 透明のロールスクリーン

小林教授: 「透明ロールスクリーンを設置することはよく行われていますが、ロールスクリーンの下や側面に隙間があると意味がありません。また、ロールスクリーン自体の消毒やふき取りが徹底できていないと、ウィルスが残ってしまい、逆にリスクが高まります。店舗のレジのビニールも同じで、柔らかいのでうまくふき取りができないのが難点です。フェイスシールドも同様で、繰り返し使う際には、消毒やふき取りが徹底できていないと逆効果となります。ですから、ロールスクリーンを利用する場合、消毒やふき取りを徹底しなければならないため、工程が増えることも、おすすめできない理由です」

△ 植栽で間仕切りをする

小林教授: 「植栽で間仕切りをしても、飛沫を防ぐことにはなりません。ただ、距離を取るという意味では有効です」

△ 床の高さを変えて、他者と目線が交わらないようにする

小林教授: 「飛沫は上から下に移動するので、目線を変えても意味がありません」

△ 通路を一方通行にして接触を減らす

小林教授: 「混み合っている場所であれば有効ですが、オフィスですれ違うくらいであれば、行う必要はないでしょう」

まとめ

オフィスにおける、職場内クラスターを防ぐための専門家の解説とオフィスレイアウトから見る感染予防のポイントをご紹介しました。しばらくはテレワークと出社が並行して行われるのが想定されます。職場内クラスターを徹底的に予防するためのオフィスづくりは、会社の存続そのものに関わるのはもちろん、業務効率、生産性などにも関わってくることです。今回有効と示された感染予防策を徹底すると同時に、有効で最善のレイアウトを実現することが重要です。

監修者
小林 寅喆 (コバヤシ インテツ)
東邦大学看護学部 感染制御学 教授


北里大学衛生科学学院 卒業、保健学博士
三菱化学メディエンス 検査部長 兼 化学療法研究部長、
東海大学医学部 非常勤講師、国立国際医療センター 非常勤研究員、
東邦大学医学部看護学科 感染制御学 教授、
東邦大学大学院医学研究科 教授 を経て、
現在 東邦大学看護学部 感染制御学 教授、大学院 看護学研究科 教授

感染症や院内感染対策など感染制御学を専門とした研究・教育に携わる。

・文部科学省専門調査員(ライフサイエンス)
・上田泰記念感染症・化学療法研究奨励賞(日本化学療法学会)受賞
・日本歯科医師会 新型インフルエンザ対策ワーキングチーム 委員
など 論文、著書多数

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